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ソブリン事件

 要旨

東京地裁、小林洋行、フジトミ、ソブリントラストインターナショナル、外国為替証拠金取引、平13・ワ・16292号、証拠金返還等請求事件
http://www.hyogoben.or.jp/hanrei/hanreihtml/040514.html
(兵庫県弁護士会 消費者問題判例検索システム)

外国為替証拠金取引の仕組を組成し顧客の窓口となった商品先物会社に対し、誤情報提供の不法行為があったとして損害賠償を命じた事例(過失相殺2割、商品先物会社を外してソブリンとの直接取引に移行した部分は7割)。

原告となった顧客のほとんどは当該取引で利益を出した計算となっている(原告らの「支出額−受取額」合計は1億4700万円であるのに対し、証拠金残高合計は2億4600万円に増加)が、取引の相手方であるソブリンが証拠金を返還しないため、結局、原告らは預託資金全額を失った。

顧客と業者の利害が対立する構造の取引であるため、顧客が計算上利益を出すと相手方業者が破綻、持ち逃げ等して顧客が損害を被るというパターンの事件である。

 判決

http://www.hyogoben.or.jp/hanrei/pdf/040514.pdf
東京地裁 平成13年(ワ)16292号、証拠金返還等請求事件 判決(一部文字化け)

 説明

商品市況展望
http://www.higenaka.com/tenboukoukai/shouhinn20010520.html

 緊急特別企画 外貨証拠金取引について

 現在外貨証拠金取引は、為替の円安傾向とスワップ金利による高利回りに対する人気を呼び、このところ盛んになっている。
ところが、この将来的にも有望な取引に対して『ソブリン事件』と呼ばれる詐欺事件が発生し、
顧客の資金が戻ってこないかもしれない事態となっている。

 事の顛末を簡単に記すと、
ソブリンインターナショナル東京支店(本社香港)は、
ソブリングループ(オフショアの信託銀行)の一員ではあるが、
その業務はいわゆる『のれん貸し』のサービスを営んでいる。
ここにモリソンキャピタルホールディングス社日本駐在員事務所(持ち株会社の所在地は米国デラウェア州)
を設立した人間(日本人)がおり、
その人間が顧客資金を横領したという事。

行方不明の金額は約6〜7億円といわれている。
 モリソン社は実質的に前記の人間の個人会社でありソブリン社とは資本関係はないが、
ソブリン社の『のれん貸し』サービスにより、
本来関係のない?ソブリン社の在日代表を名乗るとともに、
ソブリン社の名刺を持ち歩いていたという。

 小林洋行・フジトミの2社はこのソブリン社とIB業務を結んで、顧客からの注文を執行していた。
しかし今回のモリソン社の詐欺事件で、ソブリン社は顧客に対する資金返還要求に答える能力がなく、
小林洋行・フジトミの2社もIB契約時の保証金6700万円余りの返還をめぐって、東京地裁で係争中である。
また、東陽レックスも保証金約1500万円の返還をめぐって係争中との事。

 さてこの事件において、商品取引員8社がソブリン社の顧客であったとされているが、
ソブリン社に関する取引遅延の噂で即座に契約を解除し、難を逃れた会社もあったらしい。
 そもそもIB業務とは、客からの売買注文等をブローカーに取り次ぐもので、売買契約の当事者はブローカーと顧客である。
それゆえ小林洋行・フジトミの2社は、会社も被害者であり顧客は直接ソブリン社に対して返還要求を出すべきとの姿勢であるらしい。
 それに対して、顧客との契約をいったん自社で受けた後にブローカーに注文を出すプリンシバルという形式もある。
この場合は、商品取引員自体に責任が生じる事になるだろうが…
 いずれにしても外貨証拠金取引を委託する場合は、IB契約なのか?あるいはプリンシバルなのか?
そして一番重要なのは、取引先の信用状況をよく調べて取引をせねばなりません。